MRIインターナショナルの悪質詐欺事件に思うこと

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Fraud

資産運用会社「MRIインターナショナル」(本社・米国ネバダ州ラスベガス)が巨額の顧客資産を消失させたとされる事件が明るみに出た。

日本国内の富裕層の個人投資家を中心とした顧客から預かった資産、その額はなんと約1300億円にも上るという話だ。

金融庁の証券取引等監視委員会によると、MRIは2011年以降、資産運用の実績はなく、財務局に嘘の事業報告書を提出していた疑いがある。

また遅くとも2012年の夏には、同社から顧客への配当が滞っていたことがわかり、新規顧客から得た資金の大半を別の顧客への配当や償還金に流用する、いわゆる自転車操業の状態に陥っていたという。

一方で、MRI社長は顧客に対しては「成長を続けている」「出資金は金融商品の購入や回収事業のみに充てられる」と説明を続け、さらに2013年春には新しいパンフレットを作成し、新規顧客の獲得準備を進行。

また、東日本大震災の被災地への援助活動やチャリティーコンサートの開催、著名な経済専門誌への広告出稿、高額出資者をラスベガスに無料招待し、投資関連先として米国の病院を見学するツアーを実施するなど、社会的な信用を巧みに演出していたとされる。

これらの動きを問題視した証券取引等監視委員会は検査を急ぎ、金融商品取引法違反(誇大広告)の疑いで2013年4月26日に強制調査に踏み切った模様。

MRIのエドウィン・ヨシヒロ・フジナガ社長は、今月来日して証券取引等監視委員会の聴取に応じ、こうした実態を大筋で認めているという。

証券取引等監視委員会は、運転資金にも事欠く中、MRIが顧客に嘘を言って資金を集め続けた疑いがあるとみて、調査を進めている。

ファンドは米国の銀行で開設した口座に顧客が直接出資金を振り込み、そこから配当を受け取る仕組みとなっているといい、今後は米本社への調査が必要となるため、米証券取引委員会の協力を得ていく方針となっている。

また、「投資者からの出資金はアメリカ大手銀行内の特別講座「ロックボックス・アカウント」に振り込まれ、口座内のお金は第三者機関(エスクロー会社)の指示でしか動かせない。消費者保護の観点で州政府が認可している制度で、万が一の場合はエスクロー会社の積立金で補償される。」と説明していたが、実際はMRIが自由に出し入れできる状態となっていて残高はほとんど消失しているという。

金融庁は4月26日に同社の金融商品取引業の登録を取り消した上で、「顧客間の公平に配慮しつつ、顧客保護に万全の措置を講ずること」との業務改善命令を出したところで、被害者に対する個別の対応が行なわれるところまでは、現状では見込めない状況となっています。

 

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企業年金の90ヵ所以上から資産運用を委託され約1500億円を消失させたAIJ投資顧問(2012年1月に発覚)のような、顧客の資産を預かって運用する「投資運用業者」は約260社程度だが、今回のMRIのようなファンド関連の商品を売る業者は「第2種金融商品取引業者」に分類され、1279社ほど登録されているそうで、なかなか目が届きにくい実態もあるようです。

→2013/12/18、全国17の年金基金から計248億円をだまし取ったとして、詐欺と金融商品取引法違反(契約の偽計)の罪に問われた「AIJ投資顧問」(現・MARU)の前社長浅川和彦被告ら3人の判決が東京地裁であり、安東章裁判長は浅川被告に求刑通り懲役15年、また3人に追徴金約157億円、没収約6億円が言い渡された。同社元取締役で会計担当だった高橋成子(しげこ)被告と同社傘下のアイティーエム証券前社長の西村秀昭被告には、いずれも懲役7年(それぞれ求刑懲役8年)が宣告された。浅川被告らは、2009年4月~2012年1月にかけてAIJによるファンドの運用実績を水増しして顧客に提示の上、計17の厚生年金基金などにファンドを買わせ、計248億円をだまし取ったとされる。

 

MRIは1998年の設立で、日本では東京都千代田区に事務所を置いている。診療報酬を保険会社に請求できる権利を債権化した金融商品(MARS)を米国で扱い、年利6.0~8.5%で資金を運用できると宣伝。広告を経済専門誌や全国紙に出し、会報に芸能人を登場させるなどして、富裕層を中心に顧客を集めていた。同社のウェブサイトでは、2012年末時点で約8700人から約1365億円を預かっていると公表。

 

MARSについて:アメリカでは個人で医療保険に加入しており、患者が医療機関で診療を受けた際に発生した費用は、医療機関から保険会社に対して請求を行うような仕組みになっている。しかし、保険会社ごとに請求のための書式が違ったり、保険契約の違いによる請求内容も異なったりするため非常に煩雑であるらしい。この時間と手間を「診療報酬請求債権(レセプト債)」として医療機関から買い取り、医療機関に代わって請求処理を効率的に行うことで利益を生み出すビジネスモデルだという。

 

年利が6.0~8.5%、最大10.32%で、しかも固定で途中での変動はなし、すべてアメリカで運用するが円建ての出資でも為替差損のリスクはMRIが負担する、と説明し、「1998年の販売開始から現在まで、元本割れはおろか、商品設定を変えたこともありません」という好条件の触れ込みは、まさに夢のようなノーリスク・ハイリターンの”美味しい”商品に思えますが、結果としてハイリスク・ノーリターンのとんでもない危険な”インチキ”商品になってしまったのでした。

あまりにも残酷です。

ひどすぎます。

非常に腹立たしい事件です。

投資は100パーセント自己責任とはいうものの、誰しも儲けるために出資するのであって、(例え元本割れの可能性があるとは言っても)1円だって損をするために出資するような人は、一人も居ないはずだし、ましてや、誰も、こんな悪徳の詐欺師集団に自分の虎の子の資産を預けたりなど、絶対にしないはずだ。

投資家の夢を食い物にし、踏みにじり、のうのうと生きている人間がいるというのが、どうしても許せないところだ。

もうこれ以上、このような悲劇は繰り返されて欲しくないし、何が何でも撲滅されて欲しい。

 

今回のようなMARSに限らず(・・・というか今回のMRIの事件は完璧に詐欺犯罪なので一概に同列には論じられないけれど)、やはりメジャーなマーケット(取引市場)が形成されていないような金融派生商品に手を出すというのは、我々個人投資家にとってはリスクが高く、危ない賭けになるのではないかと思う次第です。

なぜかというと、いざという時に売り逃げることが非常に困難(というか最悪の場合、売り逃げ不可能な状態)になるからだ。

 

「余剰な資金を運用したいと思った時、その仕事を他人に任せてはいけない。その金額が数百万ドルであろうと数千ドルであろうと、重要な教訓は同じである。それは自分の金だ。きちんと守るかぎり、その金が失われることはない。過った投機をすることは、金を失う確実な方法の一つである。」(ジェシー・リバモア著「孤高の相場師 リバモア流 投機術」)

「はじめに忠告しておくが、成功によって手にできる成果は、自ら記録を付け、自ら考え、自ら結論を出すという点において、どれだけ偽りなく誠実に努力したかに比例する。( 〜 中略 〜 )手法に忠実に従ったとしても、自分で行うべき作業を他人に委ねては成功を手に入れることはできない。」(同上)

MRI事件を知って、その波乱の生涯を本物の相場師であり続けたリバモアが残してくれた、含蓄のある深い言葉の数々を、あらためて思い出した。

なぜ私がFXを選んでいるのか、その理由の一つには、彼の言葉があるからだ。

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